歯車と歯車が複雑に絡み合い
そして一定の時間の流れを知らせてくれる機械式腕時計。
時計の役割とはある意味不思議です。
今が何時、何分なんて時報程度の時刻を知る為だけに、
わざわざこの時計を必要としているのではありません。
時間の概念というのは万人共通の社会秩序を守る上で、
人間が作り上げた約束事の延長線上のルールでしかありません。
流れている時間は有限で限りがあるのは誰でも知っています。
ヒトや動物が生まれた瞬間から死に至るまでの時間軸を
簡単に説明する時にこの約束上の時間が使用されます。
歴史が流れ、移り行く環境の連続でこの時間だけが目に見えません。
目に見えないどころか追掛ける事もコントロールする事も出来ません。
自分の都合で長くしたり短くしたりと基本的な調整も出来ないのがこの時間です。
時とは本来永遠に続く現在しかないのがホントの時間の流れなのですが、
時計という測定器を介して3つの時間帯「過去と未来」がこれに追加で加わります。
会話の中では都合良く過去、現在、未来と前後の環境が間接的に語られます。
規則正しく一定の速度で経過して行く時間の本質は当たり前ですがいつも現在のみです。
辿り着けないような近い将来の自分に決定権を回してみたり、
戻れもしない過去の時間軸を追憶の中だけでダラダラと追掛けると、
現在の時間をやがては大きく見失う事になり兼ねません。
機械式腕時計は機能が止まっていたり狂っていたりしない限り
いつも今流れている現在の時間だけしか表示してくれません。
今しか存在していないという事を忘れてしまわぬように
これらの機械式腕時計の存在があるのかも知れません。
0 件のコメント:
コメントを投稿